10月も、もう半ば。
読売ジャイアンツもリーグ優勝し、
めでたし、めでたし。

神戸生まれ、神戸育ちだけど、
昔からジャイアンツが好きだった。
王と長島に憧れて、気づけば少年野球を始め、
高校野球に没頭していた日々。

世の中なんて良くわからなかったけど、
小学生の時から、年上の人に「さん」を付けることを覚えた。
高校では、先輩を見かけたら走っていって挨拶することを覚えた。
自分は悪くなくても、連帯責任でケツバットされることを覚えた。
喉がカラカラでも、水を飲んではいけないことを覚えた。
何故? 誰のために我慢する? お金ももらえないのに…
そんな葛藤の中で、理不尽なことも覚えた。
自分一人のせいで、チームに迷惑をかけられないという
責任感も覚えた。


社会に出て、お金が必要だと言うことを覚えた。
そして、お金をもらうことを覚えた。
今度は社会の中で、理不尽なことも覚えた。
ストレスも覚えた。酒を飲むことを覚えた。
寄り添うことも覚えた。突き放すことも覚えた。
少しだけ、人間というものも覚えた。
……まだ、少しだけ。

そのすべてが、無駄ではなかったと言うことも覚えた。
かなりヤケドもした。かなり水の中で溺れた。

世の中の厳しさも覚えた。
お金が大切だと言うことも覚えた。
調子にのってはいけないと言うことも覚えた。

色々学んだのに、時代は変わった。

ウサギ跳びはなくなり、練習中に水が飲めるようになった。
その結果……、技術が向上してきた。

写植の切り貼りがなくなり、手書きで原稿を書かなくなり、
パソコンから入稿できるようになった。
その結果……、効率が良くなり、多くの仕事をこなせるようになった。


パソコンがない時代、
朝出社したら、何をしていたんだろう?
スマホがない時代、
電車の中で、何をしていたんだろう?

ジャイアンツの優勝とともに、
そんなことを考えていた。

秋ですね。