水沢さんの食旅ノート

日本全国津々浦々、地域の特産品やご当地グルメを求めてどこまでも。旅すがら出会う伝統文化や郷土芸術を楽しみながら、食べ歩くのが生きがい。料理の味だけに留まらず、その成り立ちや土地の風土、歴史的背景、食材の起源まで分析した知識ごと味わうのが水沢流。

郷土に伝わる ふるさとの味を訪ねて

しょうゆ豆

香川県

偶然が生んだ特産品

 

しょうゆ豆は、煎ったそら豆を砂糖やしょうゆ、唐辛子のたれに漬けたものです。煮豆ではなく煎ってから漬け込んでいるから、噛んだ時に口の中でポロッと砕ける歯ごたえ。皮ごと食べることができ、皮に含まれる食物繊維も魅力です。旅館の朝食で初体験しましたが、白飯にぴったりで何粒でもいけそうです。そのまま食べても良し、野菜と一緒に炒めたり、刻んで卵焼きに入れたり、アイスに入れたり。地元ではいろいろな食べ方で重宝されています。
古代エジプトでも作られていたという、そら豆。香川県では麦の間作として栽培されていたのが、特産品になったそうです。また、瀬戸内海の小豆島のしょうゆ作りは、400年の歴史を持つ伝統産業で、今も多くのしょうゆメーカーがあります。しょうゆ豆は、そんな香川県の2つの伝統の味が組み合わさって生まれた、昔ながらの郷土料理。しかしその誕生は意外にも偶然だったとか。その昔、そら豆を煎っていたら、近くにあったしょうゆ壷に豆が飛び込んでしまった。後でその豆を食べてみると何ともおいしくて、やがて広まっていったといわれています。これがしょうゆ豆の歴史の始まりなのです。

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