工藤君の情熱一人旅

ポケットに常に「青春18きっぷ」をしのばせている、永遠の18キッパー。一人旅の旅愁と理想の女性を追い求め、恋に破れては電車に飛び乗ってしまう。車窓を眺めながら、熱い思いを綴ることがいつしかライフワークになり、その熱心な仕事ぶり(?)は所長に一目置かれている。

車窓で巡る旅

信越本線

長野県・新潟県

車窓で巡る 長野駅〜新潟駅

青空に映える妙高山にかぶった残雪と、一面の雪景色

かつては、横川で特別に機関車を連結して碓氷峠を越え、高崎〜長野〜新潟を結んでいた信越本線。今は、横川〜軽井沢間は廃止、軽井沢〜篠ノ井間は「しなの鉄道」に移管されて、分断されてしまったが、長野〜直江津〜新潟間の車窓からは、妙高の山景色、日本海の美しい海、そして日本の米どころの田園風景と、様々な顔を楽しませてくれる。今回、春の信越本線の旅に出てみた。

 

 

長野駅を出発し黒姫駅付近からは、車窓左手にまだ残雪をかぶったするどい頂の山景色が広がる。もう4月中旬というのに、妙高高原駅周辺の車窓は、妙高山などの山々はもちろん、まだ一面が雪に覆われた世界に驚きだ。標高が高い地なのに加え、今年の大雪のすごさを物語っている。隣の関山駅を過ぎてもまだ雪景色。次の二本木駅まで来て、やっと街中には雪がほとんど見えなくなった。二本木駅は、いまだに行き止まりのスイッチバックが残されている高原の駅。長野から直江津方面への列車は、駅を発車すると一度バックしてしばらく進んでから、再び前に進む。事情を知らないと、一瞬「あれ!逆走してる」とびっくりしてしまう体験だ。

妙高高原駅〜関山間の妙高山

青空と雪山のコントラストが美しい

 

 

 

 

 

北陸本線との分岐点となる直江津を通り、上下浜駅を過ぎると遠くに日本海が見えはじめ、姉崎駅を過ぎると今度は海岸線に沿って走る。車窓は、山景色から海景色へ。青海川駅では、砂浜が続く海水浴場の景色が美しい。鯨波駅の手前まで日本海の海岸景色を堪能できた。

笠島駅〜青梅川駅間の青く美しい海岸風景

青梅川駅付近の砂浜が続く海岸線

 

 

 

 

 

柏崎からは、内陸に入っていく。今度は米どころ新潟ならではの田園風景。今はまだ田植え前で、土が顔を出しているが、やがて緑一面ののどかな風景に変わっていくのだろう。今度は、夏や秋の季節にも来てみたい。

東三条駅手前の田園風景。遠くに見えるのは弥彦山だろうか。

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車窓で巡る旅

山口線

山口県・島根県

車窓で巡る 新山口駅〜津和野駅

新山口駅発車前のSLやまぐち号。ヘッドマークのデザインは、運転開始から変わっていない。

1979年からSLの復活運転が始まり、今もSL運転を続けている山口線。SLやまぐち号として、概ね3月中旬〜11月下旬までの土日や連休、夏休み期間などに運転されている。山口線の列車に乗るなら、ぜひこのSL列車がおすすめ。今回も、久しぶりにSLの旅に出た。

 

 

 

以前は小郡駅と名乗っていた新山口駅(2003年10月改称)。山陽新幹線も停まるので、アクセスも便利だ。SLが発車するホームには、かつての駅名の小郡と書かれた駅名表示板が記念に立っている。レトロな装飾の車内に入り、豪快な汽笛と黒い煙りにSLの醍醐味を感じながら、いよいよ出発だ。

新山口駅のホームには、以前の駅名の小郡を記念して立てられた旧駅名表示板もある。

山口線の発車時刻表も、レトロな感じで書かれている新山口駅。

 

 

 

 

 

 

湯田温泉駅、山口駅と山口県の中心地山口市内の町並みの景色が続き、やがて仁保駅の手前から篠目駅へ続く急勾配を登っていく。この間は、勾配といくつものトンネルが続く難所。そこで、仁保駅で蒸気の圧力の調整のため、しばらく停車する。この間は、ホームで写真を撮ったり、機関車をじっくり見たりできるサービスタイムだ。仁保駅を発車後は、坂を登っていくSLのかんばり所。篠目駅を過ぎると、今度は高原地帯を快走する。列車はやがて長門峡駅へ。自然が造る渓谷長門峡への入口で、何人かが降りた。

宮野駅〜仁保駅間の、のどかな田園地帯を走る。

仁保駅に停車中のC57。

 

 

 

 

 

船平山駅を過ぎると終点津和野までは、あとわずか。左手の山の中腹に朱色が鮮やかな太鼓谷稲荷神社の建物が見えてきて、やがて山陰の小京都ともいわれる津和野に到着する。津和野駅でのおすすめは、SLがホームの先にある転車台で向きを変えるシーンを見ることができること。なかなか見ることのできないチャンスなので、津和野の町への散策に出かける前に、ぜひ見てほしい。

左手中腹に見える赤い太鼓谷稲荷神社。神社の左下には、参道に連なる朱の鳥居も見える。

ホームをつなぐ跨線橋の上から、転車台で向きを変えるSLをズームで見る。

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車窓で巡る旅

瀬戸大橋線

岡山県・香川県

車窓で巡る 岡山駅〜坂出駅・宇多津駅

橋脚越しに見る瀬戸内海の絶景。海面に現れた白波や、遠くに見える島々の景色が、車窓いっぱいに広がる。

岡山から宇野線、本四備讃線、予讃線を通り、四国の高松までを結ぶ線路をあわせた愛称が、瀬戸大橋線。高松行きの快速マリンライナーの他、松山・高知方面への特急列車もあり、瀬戸大橋から見る瀬戸内海の絶景は、いろんな列車から楽しめるのだ。今回は、ちょっと奮発して、快速マリンライナーの1号車グリーン席に乗車。しかも、運転席のすぐ後ろで、前面のワイドな窓からの景色が眺められる、4席しかないパノラマグリーン席のひとつの1D席。1A席・1B席は前に運転士が座っているが、1C席・1D席からは、走りゆく前方の景色を遮るものがなく、運転士気分で楽しめる特等席なのだ。

児島駅を過ぎると、いよいよ瀬戸大橋に入っていく。2階構造の橋は、上を自動車が走っているので、線路の両側にある橋脚が景色の邪魔をするのが残念だが、鉄の柱が次々と目の前を通り過ぎていくスピード感あふれる光景は、瀬戸大橋ならではのロケーション。瀬戸内海を見下ろす景色が、とにかく最高だ。右も左も、そして鉄橋の下にも、瀬戸内海の青い海、海、海。白波が、太陽の光に照らされて、キラキラ輝いている。遠くに見える島々や、行き交う船が大海原のキャンバスに描き出す軌跡を目で追いながら、列車は高速で駆け抜けていく。

パノラマグリーン席の1D席から見る景色は、まさに運転士気分のロケーション。

一瞬視界を遮る鉄の柱がなくなり、車窓一杯に島並みの景色が現れた。

 

与島では、島に降りていく道路が描くループを車窓から見ることができる。

行き交う船の姿と島々を遠望する、瀬戸内海らしい景色。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて四国の地へと入ると、宇多津・松山方面へ分岐する線と分かれて、左へ大きくカーブ。坂出が近づくと、右手には讃岐富士が迎えてくれた。ミニ富士山といったかわいらしい姿だ。坂出を出ると、終点高松まではあと15分ほどだ。

工場の煙突が見えてきて、いよいよ四国の地へと入っていく。

坂出の手前から見えてきた讃岐富士の姿。美しい富士山型の山並みが印象的だ。

 

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北陸本線 1

福井県


車窓で巡る 【上り線】敦賀駅〜新疋田駅


上り線が下り線の線路をオーバークロスして、ループ線のトンネルに入っていく

上り線が下り線の線路をオーバークロスして、ループ線のトンネルに入っていく

ぐるっと一周して坂道を登っていく、全国でも数少ない「ループ線」の醍醐味を味わえるのが上り線。複線化の際に、坂道を登りやすくするために、あえて距離は長いが勾配を緩やかにしたこの方式で造られた歴史を持つ。敦賀駅発車後の車窓右手に見える赤と白の煙突が目印になるので注目。上り列車は、やがて下り線の上をオーバークロスしてトンネルに入り、右カーブを続けながら登っていく。いよいよループ線の始まりだ。

 

 

ループ線内のトンネルとトンネルの間で、一瞬車窓左手に見える敦賀の町並み風景。敦賀駅発車直後は車窓右手に見えていた町並みの景色が、今度は車窓左手に現れた

ループ線内のトンネルとトンネルの間で、一瞬車窓左手に見える敦賀の町並み風景。敦賀駅発車直後は車窓右手に見えていた町並みの景色が、今度は車窓左手に現れた

半周ほどしてトンネルを出ると、敦賀駅発車直後に車窓右手に見えていた敦賀の町並み風景が、今度は車窓左手に見えてくるのだ。再び見えた赤と白の煙突が、そのことを示す。しかも手前には小浜線の線路、遠くには敦賀湾も見える。わずか十数秒で、再びトンネルに入ってしまうので、見逃さないで。

 

 

 

 

 

 

上り線の車窓左手下に見える下り線の線路。この区間だけは、部分的に右側通行の線路配置になっている

上り線の車窓左手下に見える下り線の線路。この区間だけは、部分的に右側通行の線路配置になっている

ループ線を一周してトンネルを出ると、やがて車窓左手下に見える線路が下り線の線路。通常は車窓右手に見えるはずの線路の位置関係が逆転しているのだ。その後またトンネルを出ると、下り線が右手に戻っていて、そのまま新疋田駅へと入っていく。        

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箱根登山鉄道

神奈川県


車窓で巡る 小田原駅〜強羅駅


箱根湯本駅〜塔ノ沢駅間のあじさい

箱根登山鉄道は、山岳鉄道ならではの景観や季節の花々など、車窓には箱根の豊かな自然を惜しみなく映し出してくれる。

特に6月中旬〜7月中旬にかけて、多彩な色のあじさいが車窓から楽しめるのが魅力だ。標高が高くなるにつれ、花の見頃も遅くなり、長い期間に渡って楽しめる。

宮ノ下駅ホームのあじさい

 

宮ノ下駅は、登山鉄道全駅の中で一番のあじさい株数を誇り、駅のホームも多くのあじさいで飾られる。

出山の鉄橋から見る早川の流れ

 

通称出山の鉄橋と呼ばれる早川橋梁は、眼下に早川の清流を見下ろす絶景ポイント!

出山信号場から見る出山の鉄橋

 

スイッチバックで進行方向が変わる出山信号場から遠望する早川橋梁の全景も、車窓の見所だ。

 

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大井川鐵道 2(南アルプスあぷとライン)

静岡県


車窓で巡る 千頭駅〜井川駅


アプト区間の急勾配を登る

千頭駅からさらに山奥の井川駅までは、南アルプスあぷとラインの小さな車両に乗って、大井川の流れを見ながら登っていく。

アプトいちしろ駅〜長島ダム駅間は、珍しいアプト式鉄道。ギザギザのレールと歯車を噛み合わせ、特殊な機関車で急坂を押しあげて登る、世界での数カ所しかない方式だとか。窓から線路の先に目を向けると、その急勾配を実感できる。

関の沢橋梁から渓谷を見下ろす絶景

大井川をさらに遡る南アルプスあぷとライン

接岨湖(せっそこ)に架かるレインボーブリッジ

 

 

 

 

 

ダム湖の上を渡るレインボーブリッジから周囲の山々を見渡すワイドな景観!尾盛駅〜閑蔵駅間の関の沢橋梁から見下ろす約100m下の渓谷!!川と湖と山々が織りなす自然の美しさ!!!

秋の紅葉の時期には、鮮やかな色合いにつつまれるそう。今度は絶対、秋に乗りに来る!

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大井川鐵道 1(大井川本線)

静岡県


車窓で巡る 金谷駅〜千頭駅


先頭を走る蒸気機関車から出る黒い煙

昔懐かしいSL(蒸気機関車)が現役で走っている大井川鐵道。金谷駅〜千頭駅間はレトロな客車を従えて走るSL列車のほか、かつて大手私鉄で活躍していた往年の電車が当時の塗装のままで今も走っていて、大井川の流れを見ながら、多彩な車窓旅を楽しめる路線だ。

雄大な大井川の流れ

 

大井川の下流の川幅はとても広い。車窓にその雄大な流れを映し出し、十分に楽しませてくれる。

車窓に広がる茶畑の風景

 

沿線の名産である川根茶の茶畑も、車窓を飾る独特の景観を演出している。特に新緑の春には、茶畑の緑がいっそう目に鮮やかだ。

家山駅付近の桜並木

 

家山駅付近は桜の名所で、車窓から楽しめる桜のポイントとしても知られている。

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函館本線  1

北海道


車窓で巡る 札幌駅〜長万部駅


 

倶知安駅〜比羅夫駅間から見える羊蹄山

札幌から函館方面へのメインルートといえば、苫小牧〜東室蘭回り。

「ですが、かつては小樽〜倶知安回りの特急や急行列車が走っていたんですよ」と、北海道生まれの所長が教えてくれた。通称“山線”と呼ばれる函館本線のルートは、変化に富んだ車窓風景が楽しめるオススメの区間というので、この目で確かめに行ってきた。

大きな岩が海岸沿いに見える銭函〜朝里間

 

函館本線の札幌から小樽までは運転本数も多いが、小樽からは一転して本数がぐっと減り、普通列車のみのローカル線の様相となる。

「山線」の名にもかかわらず、銭函から小樽築港までは、日本海の海岸線ぎりぎりに沿って走る海景色だ。

羊蹄山と尻別川の流れ

 

ところが小樽からは車窓の景色も山景色へと変化。

そして特筆すべきは、倶知安駅手前から見えてくる羊蹄山の美しさ!「蝦夷富士」とも呼ばれる立派な姿は、倶知安駅を過ぎてから、よりワイドに迫ってくる!!

ニセコの山々や尻別川の流れも加わり、山の自然を満喫できる車窓風景を楽しみながら長万部に到着。

熱郛駅〜目名駅間の田園風景

 

札幌から長万部まで、東室蘭回りの特急なら約2時間。倶知安回りでは、途中小樽で乗り換えて約3時間30分〜4時間の長旅となる。しかし、この車窓からの眺めには、時間には代えがたい価値があるのだ!

 

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身延線

静岡県・山梨県


車窓で巡る 富士駅〜甲府駅


富士川の流れを遡る身延線。富士山の勇姿に期待しての車窓だが、富士駅を出てしばらくは右手に見えるものの、建物の陰に隠れてしまうことが多いのが、なんとも残念。

富士山の全景が広がる静岡県側の車窓

ところが西富士宮駅を過ぎると、線路はS字にカーブを描きながら高台へ。富士山の見晴らしも一段と良くなり、期待も膨らんでいく!

そしてついに、今度は左手の車窓いっぱいにその全景を映し出してくれるのだ!!

富士川の流れを車窓に映す

 

沼久保駅付近まで富士山の姿を堪能した後は、富士山とはしばしお別れ。その後は左手に富士川の流れを見ながら、山間の景色の中へと入っていく。

甲府盆地に入ると、再び富士山が時々顔をのぞかせてくれる。

 

 

 

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山陽本線 1

広島県


車窓で巡る 尾道駅〜糸崎駅


左手遠方に見えるのが本州四国連絡橋のひとつ「因島大橋」

「いくつもの島々が連なる景色を見たい!」と思い立ち出かけたのが瀬戸内海の海岸線。

「島々が並んだ景色を車窓から見られる場所は意外と少ないんですよ」と所長。おすすめは瀬戸内海というので、ここにやってきた。

尾道から隣の糸崎の間の山陽本線は、尾道水道と島々が連なる景色が望め、瀬戸内海ならではの多島美が楽しめる区間。尾道駅を出ると港町風景が続き、しばらくすると、左手遠方に因島大橋が美しい姿を現す。

 

瀬戸内海ならではの多島美が楽しめる景観

車窓からは、橋全体をちょうど真横から見ることができ、つり橋の持つ優美な造形美を遠望できる。車窓はまさに特等席!

橋の左側が向島、右側が因島、さらに幾つもの島々が海の上に連なる絶景を楽しませてくれる。美しい!

でも、見えているのは数分間。やがて海岸線と別れ、糸崎駅の広い構内へと車窓の景色は変わっていく。

 

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