秋田県・青森県
車窓で巡る 東能代駅〜川部駅
海岸風景の絶景が見どころの五能線は、鉄道ファンのみならず、多くの旅人に人気があるローカル線。今回、久しぶりに訪ねてみた。東能代駅の五能線のホームには、「五能線」を示す大きな表示。ここから、ディーゼルカーに乗っての列車旅が始まる。日本海の海岸線に沿って美しい景色を見せてくれる車窓に、高まる期待。やがて、列車はゆっくりと走り出した。
しばらくは緑豊かな田園地帯を進む。そして、東八森駅を過ぎると、待ちに待った日本海が見えてきた。天候も回復して、今日は絶好の車窓日和だ。五能線は、全線がお薦め車窓なのだが、その中でも、岩館〜大間越、深浦〜広戸の区間や千畳敷付近は、特に海岸線が美しい絶景区間として有名だ。「リゾートしらかみ」号では、速度を落として運転してくれる。切り立った断崖や海へと続く岩場、そして時には砂浜と、変化に富んだ海岸風景の車窓に、目が離せない。同乗した団体の旅行客も、車窓の絶景に歓声を上げていた。
深浦から広戸の間の海岸線は、数多くの鉄道写真の撮影場所になるほどの絶景の地。ゴツゴツした岩場と大海原のコントラストが絶妙で、午後の陽の光がさらに不思議な魅力を引き出してくれる車窓が広がる。さらに夕刻になると、夕陽に染まる海岸風景も大きな魅力だ。千畳敷は、平坦な岩場が海へと続いている絶景の地。奇岩が造り出す自然の造形美を、たっぷり楽しませてくれる。
様々な海岸風景を車窓に残した五能線の列車は、鯵ヶ沢を過ぎると、やがて日本海と離れて行くが、ここで残念がってはいけない。五能線の車窓の魅力は、海岸風景だけではないのだ。今度は、車窓右手に「津軽富士」と呼ばれる岩木山が登場。その美しい姿と、緑豊かな田んぼや青森ならではのりんごの木々が繁る風景は、五能線の車窓のもうひとつの見どころなのだ。海も山も魅力的な五能線。ぜひ一度、訪ねてほしい。