車窓で巡る 素敵な海景色
列車の車窓に広がる、青く輝く海の景色。暑い夏には、ことのほか紺碧の海景色が似合う。今回は、海岸線に沿って走る列車の窓からみた海の風景を特集して紹介するので、少しでも涼しげな気分を求めて、ぜひ列車の旅を楽しんでほしい。
◎釧網本線(網走の先〜知床斜里)
網走を過ぎて、桂台から知床斜里の区間、オホーツク海の景色が眺められる。知床半島の付け根、知床斜里に近づくにつれて、羅臼岳などの知床の山々が真っ青なオホーツク海の海越しに、だんだん大きく見えてくるのも魅力だ。
◎函館本線(銭函〜小樽築港)
札幌から小樽へ向かう途中、銭函を過ぎると日本海が見えてきて、海岸線に沿って列車は走っていく。岩場の海岸では、北国の短い夏を楽しむ人たちの姿が。銭函と朝里の間にある、帽子のような形をした大きな岩は、とても印象的な景色だ。
◎五能線
海岸線がつくる絶景が、長い距離に渡って楽しめる五能線。全線がおすすめの車窓だが、その中でも、岩館〜大間越、深浦〜広戸の区間や千畳敷付近は、特に海岸線が美しい絶景区間として有名だ。切り立った断崖や海へと続く岩場、そして時には砂浜と、変化に富んだ海岸風景の車窓に、目が離せない。
◎伊東線
熱海から伊東へ向かう伊東線。列車は左手に相模湾を見下ろしながら、海の向こうには台のように広がる初島の姿を見て、高台の上を走っていく。伊東に近づくにつれて、線路の高さも低くなり、海が間近に迫ってくる。
◎伊豆急行線
伊豆半島の伊東から伊豆急下田まで、伊豆の東海岸線に沿って走る伊豆急行線は、海側に座席を配したリゾート21車両の運転など、海の風景を十分に楽しめる路線。なかでも、伊豆熱川〜片瀬白田〜伊豆稲取の区間は、天気がよければ、遠くに伊豆七島が見えるロケーション。一番の絶景区間だ。
◎山陽新幹線(西明石〜姫路)
新幹線から見える海景色は、とても少ないのだ。その中でも比較的近くに海が迫るのが、西明石から姫路の間。街の向こうに播磨灘が見えてきて、うっすらと淡路島の姿が遠くに見えてくる。スピードが速いので、見逃すな!
◎瀬戸大橋線(児島〜坂出)
瀬戸大橋から見る瀬戸内海。海の向こうに浮かぶ小さな島々が連なる景色は、瀬戸内ならではのワイドな見どころで、行き交う船の姿もまた、海の上のアクセントになる。橋の柱が次々と通り過ぎていくスピード感を味わいながら、列車は高速で駆け抜ける。
◎山陽本線(尾道付近)
山陽本線の尾道付近は、瀬戸内海の景色が良く見えるところ。尾道から三原方面へ向かう列車は、尾道を過ぎると瀬戸内の海と島々が連なる風景が続く。やがて因島大橋の美しい姿が左手後方に遠くに見えてくる。
◎呉線
山陽本線の三原から瀬戸内海に沿って呉を通り、広島方面へ向かう呉線も、瀬戸内の海景色を楽しめる路線だ。安芸幸崎(あきさいざき)〜忠海(ただのうみ)の区間は、三角形の斜張橋の姿が美しい多々羅大橋が、遠くにちょうど見える位置。
◎山陽本線(岩国〜徳山)
山陽本線の岩国から柳井の間も、海岸風景が楽しめる区間。神代(こうじろ)を過ぎると、本州と周防大島とを結ぶ大島大橋の堂々とした姿が見えてきて、やがて線路の上をクロスしていく。グリーン色の美しい橋の下を進み、瀬戸内海にそって走って行く。
◎日豊本線(鹿児島付近)
鹿児島中央から宮崎方面への列車旅。鹿児島駅を過ぎ、トンネルを抜けるとやがて正面に海越しの桜島がワイドに見えてくる。この時は、あいにく曇り空で、桜島の山裾が見える程度でしかなかったが、天気が良ければ南国の青い海と、青い空に挟まれた桜島が、きっと美しく見えるに違いない。
青森県
車窓で巡る 津軽五所川原駅〜津軽中里駅
津軽鉄道は、五能線の五所川原駅の構内に同居する津軽五所川原駅から津軽中里駅までの約20ロを結んでいる。沿線に太宰治の生家「斜陽館」があるので多くの太宰ファンが訪れ、また、冬のストーブ列車、夏の風鈴列車、秋の鈴虫列車など、ユニークな列車が走るところとして知られている。
1両編成のディーゼルカーが、津軽五所川原駅を発車した。列車には、運転手の他に女性のアテンダントが乗務し、沿線の見どころ案内をしながら、のどかな田園地帯を走っていく。車窓には、津軽富士と呼ばれる岩木山がその姿を現し、緑の田んぼとのコントラストも美しい。乗客の中には、もう何回も来ているという年配の旅行客の姿もあった。斜陽館のある金木では、多くの乗客が降りたが、こちらは終点津軽中里までの列車旅を続ける。
終点までは約35分程度の道のり。津軽の風景を見ながらのんびり走るローカル鉄道は、きっぷもいまだに「硬券きっぷ」というレトロな演出で、旅情満点の列車旅を楽しませてくれる。
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秋田県・青森県
車窓で巡る 東能代駅〜川部駅
海岸風景の絶景が見どころの五能線は、鉄道ファンのみならず、多くの旅人に人気があるローカル線。今回、久しぶりに訪ねてみた。東能代駅の五能線のホームには、「五能線」を示す大きな表示。ここから、ディーゼルカーに乗っての列車旅が始まる。日本海の海岸線に沿って美しい景色を見せてくれる車窓に、高まる期待。やがて、列車はゆっくりと走り出した。
しばらくは緑豊かな田園地帯を進む。そして、東八森駅を過ぎると、待ちに待った日本海が見えてきた。天候も回復して、今日は絶好の車窓日和だ。五能線は、全線がお薦め車窓なのだが、その中でも、岩館〜大間越、深浦〜広戸の区間や千畳敷付近は、特に海岸線が美しい絶景区間として有名だ。「リゾートしらかみ」号では、速度を落として運転してくれる。切り立った断崖や海へと続く岩場、そして時には砂浜と、変化に富んだ海岸風景の車窓に、目が離せない。同乗した団体の旅行客も、車窓の絶景に歓声を上げていた。
深浦から広戸の間の海岸線は、数多くの鉄道写真の撮影場所になるほどの絶景の地。ゴツゴツした岩場と大海原のコントラストが絶妙で、午後の陽の光がさらに不思議な魅力を引き出してくれる車窓が広がる。さらに夕刻になると、夕陽に染まる海岸風景も大きな魅力だ。千畳敷は、平坦な岩場が海へと続いている絶景の地。奇岩が造り出す自然の造形美を、たっぷり楽しませてくれる。
様々な海岸風景を車窓に残した五能線の列車は、鯵ヶ沢を過ぎると、やがて日本海と離れて行くが、ここで残念がってはいけない。五能線の車窓の魅力は、海岸風景だけではないのだ。今度は、車窓右手に「津軽富士」と呼ばれる岩木山が登場。その美しい姿と、緑豊かな田んぼや青森ならではのりんごの木々が繁る風景は、五能線の車窓のもうひとつの見どころなのだ。海も山も魅力的な五能線。ぜひ一度、訪ねてほしい。
長野県
車窓で巡る 篠ノ井駅〜松本駅
長野〜篠ノ井〜松本間は、長野県の2つの中心都市を結ぶルートとして、名古屋行き特急「ワイドビューしなの」が約1時間毎に走る重要なルート。でも、篠ノ井〜松本の区間は、特急ではなく、ぜひ普通列車で旅をすることをお薦めする。なぜなら、日本三大車窓のひとつと呼ばれた姨捨(おばすて)駅周辺の雄大な車窓風景とともに、貴重なスイッチバック体験ができるからだ。特急列車は通過してしまうため、本線から引き込み線を使って入る姨捨駅には入ってこない。でも、普通列車は、駅を発着するためにスイッチバックをして、引き込み線のホームに入り、その分車窓風景もより長く楽しめるのだ。
長野・篠ノ井方面から松本方面へ向かう列車は、姨捨駅手前の稲荷山駅を過ぎてからだんだんと坂を上り始めていく。車窓の左には、長野市街の街並みと田園風景が眼下に広がり始め、勾配を上げるとともに雄大な景観へと変わって行く。普通列車は、坂の途中にある姨捨駅の下の本線を通過すると少し先で一旦停止し、進行方向を後ろ向きに変えて、平坦なホームがある引き込み線へバックで進入していく。発車する時は、再び前向きに発車し、本線に戻る。一方、松本方面からの列車は、本線から引き込み線に進入しホームへ。発車するときに一旦バックで本線に戻ってから再度前向きに変え、長野方面に向かって下っていく。
姨捨駅の上り線(松本方面行き)ホームは、ちょうど眼下に雄大な景色が一望できるロケーションで、展望スペースや解説板なども設置。善光寺平と呼ばれる盆地の景観と美しい棚田の風景が、日本三大車窓ならではの雄大さで楽しませてくれる。時間に余裕があれば、一旦電車を降りて、次の電車までここで景色を見ながらのんびりするのもお薦めだ。また、夜景のスポットとしても有名なところで、きらめく灯りを楽しみに、夜の電車に乗ってみるのもいい。ただ、次の電車までの間隔が長いので、一旦下車する際は、くれぐれも電車の発車時刻の確認が必須だ。
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熊本県・宮崎県・鹿児島県
車窓で巡る 人吉駅〜吉松駅
九州には色々な観光列車が走っていて、車窓案内やグッズの販売もあり、乗るのが楽しみな路線が多い。中でも肥薩線は、熊本・八代方面からは人吉までSLが走り、人吉〜吉松の間を観光列車「いさぶろう・しんぺい」が、吉松〜鹿児島中央の間を観光特急「はやとの風」が走っている。今回は、真っ赤なボディーの「いさぶろう」に乗って、日本三大車窓とループ線、スイッチバックを楽しむ旅に出た。「いさぶろう」は下り線の人吉〜吉松を走り、上り線は「しんぺい」と名を変えて人吉に戻ってくる。
人吉の街を抜け、車窓には山並み風景が続く。坂を登って行き、トンネルを抜けると大畑駅に到着。大畑駅は「おこば」と呼ぶ難解な駅名。ここは、スイッチバックとループ線の両方を使って坂を登り降りする醍醐味を楽しめるところとして有名だ。発車した列車はバックしながらスイッチバック用の線路を登っていく。一旦停止して進行方向を元に戻し再発進、今度は別の線路を左カーブを描きながらループ線を登っていくのだ。やがて車窓の左下の先に、さっき停まった大畑駅のホームが見えてきて、坂を登ってきたことがを実感できる瞬間。一時停車して案内をしてくれるのも、観光列車ならではの嬉しいサービスだ。
さらに坂を登っていき、矢岳(やたけ)駅に到着。数分停車するので、駅にあるSL展示館の見学ができる。発車後長いトンネルを抜けると、いよいよ日本三大車窓と呼ばれた絶景が広がる。この日はあいにく曇り空のぼんやりした天気だったが、それでも眼下に広がる雄大な車窓風景は充分楽しめた。数分停車して案内するので、シャッターチャンスも確実に狙える。九州ならではの、ダイナミックな景観は、この路線最大のお薦めポイントだと思う。
絶景の車窓を楽しんだ後は、坂を下りながら真幸(まさき)駅へ。この駅もスイッチバックの構造になっている。車窓左下に駅のホームを見ながら、一旦駅の先迄行き、バックして駅に進入する。ここでは、地元の人たちによるお土産の販売も行われていて、ちょっとした触れ合いを楽しむことができた。縁起の良い駅名にあやかって、ホームには「幸せの鐘」があるので、記念に鳴らしてみよう。進行方向を元に戻し真幸駅を出発すると、次は「いさぶろう」の終着駅、吉松駅だ。
東京都
車窓で巡る 早稲田〜三ノ輪橋
全国に残る、数少ない路面電車。かつては幾つもの路線が走っていた都電の中で、唯一今も走り続けているのが荒川線だ。路線の大部分が車道とは別の専用の軌道を走っていたこともあり、廃止を免れた。早稲田と三ノ輪橋の間、約12kmを53分程の時間をかけて、のんびり走って行く荒川線。たまには、そんなちんちん電車の旅もいいものだ。
春と秋は、沿線に植えられたバラの花が、人々の目を楽しませてくれる。赤、白、黄色を始め、色とりどりの華やかなバラが見えるたび、車内からも「わー、きれい」と、思わず声が上がる。向原〜大塚駅前、荒川車庫前〜荒川遊園地前、熊野前〜終点の三ノ輪橋の区間は、特に線路の両サイドを埋め尽くす花の競演の見せ場で、車窓を眺めるのが楽しみな区間だ。
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東京都
車窓で巡る 東京都内の桜風景
春の訪れを誰もが実感できる満開の桜模様は、いつの時代でも人々の心を暖かくしてくれるもの。電車に乗っていて、ほんの一瞬でも車窓から桜が見えたら、何か得した気分にもなるのも確かだ。東京の桜はもう終わってしまったが、車窓から見えた今年の桜模様を特集して紹介。今年見逃した人は、来年ぜひ楽しんでみて!
◎中央線・総武線各駅停車 四ツ谷〜市ヶ谷〜飯田橋
四ツ谷駅付近から飯田橋駅付近にかけての外濠沿いは都内有数の桜の名所。中央・総武線各駅停車の上り線電車が四ツ谷駅を過ぎると一番外濠側を走るので、他の電車に遮られることなく車窓いっぱいに桜風景を楽しめる。
◎埼京線 板橋〜十条
埼京線の板橋と十条の間を横切る石神井川の上を渡る際に、一瞬見える満開の桜並木。石神井川に沿って続く桜並木は、川の流れも見えないほどにボリュームいっぱいに咲き誇る。
◎東武鉄道スカイツリーライン 浅草〜とうきょうスカイツリー
浅草駅を出ると、すぐ隅田川を渡るスカイツリーライン。川の上流に向かって左右の川岸に広がる隅田公園の桜並木は、実に圧巻の花模様を見せてくれる。隅田川は遊覧船をはじめ様々な船が行き交い、遠くまで続くピンクの桜並木とのコントラストも最高だ。
◎京浜東北線 赤羽〜川口
赤羽駅を出た京浜東北線の北行電車は新河岸川を渡り、赤羽桜堤を越えて荒川を渡り埼玉県に入る。赤羽桜堤の土手は東に向かって桜並木が続き、しかも斜面には何とも色鮮やかなシバザクラが植えられていて、桜の時期にあわせるように花を咲かせる。ピンクの中に白字でKITA CITYと描かれた花模様が目に飛びこんでくる。
◎京浜東北線 王子駅ホーム
桜の名所飛鳥山公園に隣接する王子駅は、ホームからも公園の斜面に花を咲かせる桜を楽しめる。京浜東北線、宇都宮線・高崎線、湘南新宿ラインなどが並走している区間で、様々な電車と桜のコラボが見られる絶好のお花見スポット。
◎中央線 国立駅下り線ホームの窓
国立駅前から南に続く大学通りの桜並木。高架になっている中央線の下りホームの建物の側面には窓があって、まっすぐに延びる桜並木を見ることができる隠れたお花見スポットになっている。高い位置から見渡せるのが魅力だ。
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群馬県・新潟県
車窓で巡る 湯檜曽駅〜土合駅〜土樽駅
群馬県と新潟県の県境に位置し、上り線と下り線が全く異なる場所を走るこの区間は、それぞれに特徴ある車窓風景が楽しめる、とっておきの区間だ。
【上り線】
この区間の上り線は、昭和6年に開業した古いルート。「ループ線」という、ぐるっと一周して勾配を上り下りする方法で線路が敷かれた。土樽駅の先からトンネルに入り、一度地上に出るとすぐ土合駅。土合駅を過ぎ、2つ目のトンネルを出るとパッと視界が開ける。左手にかつて高い所にあった旧湯檜曽駅のホームの跡が表れて、すぐ右手前方の下に、これから向かう線路が交差して見えてくる。トンネルに入り左にカーブを続けながら、ぐるっと一周して下っていき、さっき右下に見えていた線路のところまで降りていくのだ。このようなループ線を実際に目で見ながら体験できる場所は、全国でも数少ない。この区間の列車は1日5〜7本しか走っていないので、列車の時間を確認してから、ぜひ体験しに来てほしい。
【下り線】
複線化の際に新設されたルートが、現在の下り線のルート。水上駅を発車した列車が着く湯檜曽駅の下り線のホームは、トンネルの中に入ってすぐのところにある。ここから、谷川岳の下を貫く長いトンネルが始まる。次の土合駅もトンネルの中。地上にある駅の入口から下り線ホームまで、何と486段の階段を降りてやっとたどり着くモグラ駅なのだ。土合駅から普通列車で約8分。長いトンネルを抜けて地上に出ると、新潟県側の土樽駅に到着する。
広島県・愛媛県
車窓で巡る 尾道〜今治
今回は、列車ではなく、高速バスで「しまなみ海道」を渡る路線バスの旅。「しまなみ海道」は「西瀬戸自動車道」の尾道・今治ルートのことで、瀬戸内海の島々を道路と橋で繋ぎながら本州と四国を結ぶ、まさに瀬戸内海の上を走る海の道だ。バスの車窓に瀬戸内海の島々や行き交う船の姿を見ながら、快適な旅が楽しめる。
しまなみ海道を通るバス路線はいくつかあるが、今回は、便数の多い福山から今治へのルートに乗った。福山から西に向かって走り、やがて新尾道大橋を渡って最初の島、向島へ。対岸には坂の町尾道の町並みが見える。島を横断しながら進んで行き、因島大橋を渡って因島へ。因島の入口には公園やパーキングエリアがあって、多くの人で賑わっていた。因島の次は生口島。高いところを走るバスの車窓からは瀬戸内海の風景が一望だ。やがて多々羅大橋の姿が見えてくる。美しい姿をした斜張橋だ。この橋を渡ると愛媛県の大三島。歩いて橋を渡る人もたくさんいる。橋から見渡す瀬戸内海の絶景は何と美しいことか。
次は伯方島。伯方の塩で有名なところだ。伯方・大島大橋を渡って大島へ。大島と今治を結ぶのが来島海峡大橋で、途中に馬島も通る長い橋だ。この橋を渡りきると四国に上陸。バスは今治北インターチェンジで降りて今治市内を抜け、今治駅へ到着する。
●多々羅しまなみ公園から見上げる多々良大橋の雄姿
別の機会に、多々羅大橋を渡って大三島バスストップで下車、多々羅しまなみ公園に来ることができた。ここは、目の前に多々羅大橋を見上げる絶好のロケーション。何時間いても飽きない風景が目の前に広がる。
広島県・山口県
車窓で巡る 広島駅〜新山口駅
神戸駅と門司駅を結ぶ山陽本線は、部分的に瀬戸内海の海岸線沿いを走る。「山陽本線 1」で紹介した「尾道駅〜糸崎駅」の他、広島駅〜新山口駅の区間も、海景色を見ることのできるチャンスが多い区間だ。世界遺産の宮島や橋脚で本州とつながっている周防大島などの島々の景色も、車窓いっぱいに広がる。
広島駅を出発した電車は広島市街を抜け、やがて宮島口駅手前で対岸に横たわる宮島と出会うが、車窓からよく見えるようになるのは次の前空(まえぞら)駅付近から。大野浦駅付近では、穏やかな瀬戸内の海の向こうに、こんもりとした山の姿がきれいに見え、しばらく宮島と並行して進む。宮島は、島全体としては意外と大きいのだ。
岩国駅を過ぎ、藤生(ふじゅう)駅を出るとしばらく海岸線すれすれに走り、瀬戸内海に浮かぶ島々も見えてくる。山陽本線の中でも、屈指の海景色が続く絶景区間だ。
やがて本州と周防大島とをつなぐ大島大橋の堂々とした姿が見えてくる。橋の下でクロスしている線路を進み、大畠(おおばたけ)駅へ。駅のホームからも見える、グリーン色の美しいトラス橋だ。
柳井駅を過ぎると、海と分かれてしばらく内陸を走るが、光駅を出ると再び海景色が続く。その後も瀬戸内の海が見え隠れしながらの車窓風景。富海(とのみ)駅の前後では、海岸線すれすれにしばらく走り、海景色を十分楽しませてくれる。ほどなく防府の町を抜け、新山口駅へはあとわずかだ。