池本所長の列島探訪

旅を愛し、鉄道を愛し、旅情を愛する、当研究所所長。所員の研究を温かく見守るその瞳は、ひとたび時刻表を開けば鋭く光りあらゆる情報キャッチしては集積していく、まさに生きたデータベース。毎日旅気分を味わいたいがため、あえて遠方に住居を構えている。

列車旅メモリアルフォトアルバム

昔懐かしいグリーン車窓下の淡緑帯を復活させた、185系特急列車車両

淡緑色の帯が、独特の風格と高級感を漂わせている185系グリーン車

グリーン車にかつて入っていた側面窓下の淡緑色の帯を復活させた185系の列車を、上野駅で運良く撮影。現在、全体が湘南色といわれるオレンジと緑に塗装された185系の特急車両が、JR高崎支社の管内で1編成走っていますが、この編成はグリーン車の窓下に、かつて入っていた淡緑色の帯も復活させています。この帯は1978年に廃止されるまで、グリーン車やそれ以前の名称である一等車の側面に描かれていて、当時は一度は乗ってみたい憧れの存在でした。昔を思い出し、懐かしくなってシャッターを切りました。この編成は185系の列車の中で広く運用されていて、どの列車に当たるかを事前に知ることは難しいらしく、とてもラッキーでした。

写真は2013年3月撮影

旅ここちウォーク

鎌倉を歩くウォーキングイベントを開催しました!

稲村ケ崎から望む、もうすぐ山に隠れてしまう夕陽と富士山のシルエット

 

 

 

 

 

 

 

 

2013年1月19日(土)に、鎌倉を歩くウォーキングイベントを実施しました。集まったのは10人程度。鎌倉駅から江ノ電で由比ケ浜まで乗車、鎌倉文学館、長谷寺などを巡り、稲村ケ崎までのコースです。快晴に恵まれて、午後から夕暮れにかけての鎌倉の風情と、富士山のシルエットを映し出しながら西の空に沈むゆく夕陽を楽しむことができました。

今回のウォーキングは、ただ歩くだけではなく「コースの途中で何か思い出に残ることをやってみよう」ということで、歩く時間は全体で1時間程度にして、鎌倉文学館の庭園で水彩画を描く時間を設け、思い思いに描いてみました。「水彩画なんて初めて」とか、「学校を出てから描いたことなんかない」などという人がほとんどで、始めは恥ずかしがっていましたが、いざ始めてみると、みんな時間が経つのも忘れて夢中になっていました。
デザイン事務所を主宰されている池田雅彦さんにも同行いただき、初心者向けの描き方の基本やコツについてのアドバイスを受けながら進行。みんな思いがけない自分自身の潜在力を再発見し、絵を描くことの楽しさに魅せられたようでした。

最初に、池田先生から道具の使い方や、描きかたの基本を教えてもらい、水彩画タイムのスタート

いつしか真剣な表情になって、写生を始める参加者たち

鎌倉文学館の古い洋館の前で記念撮影

 

 

 

 

 

 

 

 

夕刻の稲村ケ崎では、すでに大勢の人たちが集まっていて、江の島と富士山や箱根の山々を望みながら、もうすぐ山に隠れようとしている夕陽を見つめていました。やがて、周囲を真っ赤に染めて沈みゆく太陽。本当に、あっという間に山の陰に消えていきました。

ここでは、絵を描いているような時間的余裕はなく、みんなその美しい光景をカメラに収めるのに夢中。さすがに少し寒かったですが、夕陽が落ちていく感動的な光景は、とてもドラマチックで、寒い中を待っていた甲斐がありました。

半分ほど山に隠れかかった西の空の夕陽

日没後に、江の島と富士山をバックに記念撮影

ウォーキング終了後、鎌倉駅に戻り、絵のお披露目会兼反省会(兼お疲れさまでした会)を軽く開催。スタート前はお互いを知らなかったみんなでしたが、和気あいあいとした中で、先生からのアドバイスやお互いの感想などを語り合い、美味しいお魚とお酒をいただきながら楽しい時間を過ごし、終了となりました。

お互いの力作を見せ合いながら、和やかなムードで歓談

今回ご参加のみなさん、ありがとうございました。

所長:池本

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この夏1ヶ月間だけ復活した、札幌〜函館間の“山線”経由の特急列車

札幌〜函館を結ぶ特急は、現在は東室蘭経由の通称“海線”で運行されています。しかし、かつては、通称“山線”と呼ばれる、小樽、倶知安(くっちゃん)、ニセコ経由の特急や急行が走っていました。2012年の夏8/6〜8/31の期間限定で、その“山線”経由の特急が復活することになり、乗ってきました。“山線”の魅力は、何といっても、羊蹄山やニセコ連峰などの山々を間近に見る車窓の景色です。蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山は、その美しい姿が人気の名峰。この日は残念ながら山頂に雲がかかってしまい、全景は見られませんでしたが、何度見てもその存在感には圧倒されます。列車は、蘭越(らんこし)、目名(めな)、熱郛(ねっぷ)等、かつてSLが走っていた頃の山線の代表的な撮影ポイントを通り、やがて“海線”と交わる長万部(おしゃまんべ)に到着しました。

写真は2012年8月撮影

倶知安駅に停車中の臨時特急ヌプリ号

車窓に見える羊蹄山

車内には、記念撮影用のシートも作られた

「函館ーニセコー札幌」の表示が!

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関西で今も活躍する、古参電車103系

JRが国鉄だった時代に作られ、「国電」の名にふさわしい通勤電車として多くの線区を走ってきた103系電車。関東ではもう見ることができなくなってしまいましたが、先日大坂・京都へ行った際に運良く出会うことができました。最新鋭の電車に押されて、活躍の場は残り少なくなっていますが、関西圏の一部路線でまだまだ現役で走っています。電車の正面の顔や側面の窓の形や配置が、今の電車とはどことなく違うレトロ感を漂わせ、時の流れを感じさせる車体。電車全体をオレンジ色やうぐいす色に塗られた姿は、かつての中央線や山手線の電車を思い起こさせる懐かしさに満ちていました。古参格の電車のひとつとして、いつまでも、現役でがんばってほしいものです。

 

大阪環状線の103系電車 2012年8月撮影(大阪駅)

奈良線の103系電車 2012年8月撮影(京都駅)

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旅情たっぷり温泉街ぶらり散歩

銀山温泉(山形県)

落ち着いた雰囲気の中で、日本が誇る温泉文化をじっくり楽しむ、温泉街散策。古き時代の面影を今に残す、情緒豊かな温泉街をご紹介します。

昼間は、それぞれの建物の特徴を見比べながら散策してみるのも楽しい

部屋や玄関の灯りがやわらかな光を放ち、幻想的な風景を描き出していく

 

川を挟んで両側に古き木造の建物が並ぶ温泉街。旅館やお店などが造り出す大正ロマンを漂わせるノスタルジックな風情は、今も健在です。銀山温泉の名は、江戸時代初期に栄えていた延沢銀山に由来するもので、温泉街の奥に歩いていくと、その跡が今も残されています。この地を訪ねたら、ぜひ宿に泊まって、静かに暮れていくにつれて変化していく温泉街の景観を楽しんでください。歩道のガス灯や建物から漏れるやわらかな光が幻想的な世界を造り出し、夕闇の中に浮かび上がって見えてきます。昼間の装いとは違った夜の温泉街が醸し出す風情もまた、いいものです。

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列車の走る姿を思いながら歩く、遊歩道アプトの道を楽しむコース

旧道に降りて見上げためがね橋

 

 

 

 

 

 

2012年の4月に、めがね橋〜熊ノ平間が新しく開通した、「遊歩道アプトの道」。碓氷峠に残る鉄道遺産を間近に眺め、美しい山並み風景が楽しめるコースとして、さらに魅力的になりました。秋には木々が色づき、よりいっそう彩り豊かな自然の中を歩けるのが楽しみです。ただ、横川〜熊ノ平間の上り坂が約2時間、熊ノ平〜横川間の下り坂が約1時間35分で、全行程を往復するのはかなりの体力と時間が必要です。そこで、夏〜秋の特定日に運行している旧道めがね橋経由の路線バスを利用して熊ノ平まで行き、横川に向かって坂道を下っていくルートをたどると、比較的に楽に歩くことができます。今回は、熊ノ平〜横川へ下っていくルートで紹介します。

熊ノ平の軽井沢側にトンネルが3つ。真ん中のトンネルの先を見ると、線路が坂道を上っていくのがわかる

熊ノ平の横川側。アプトの道として続く10号トンネルのさらに右手にもうひとつトンネルがあり、合計4つのトンネルが並んでいる

横川駅を出て左手先に、軽井沢行きのバス停があります。熊ノ平を通るバスは日にち限定運行で、しかも1日1〜2本しかないので注意してください。(下に時刻表と運転日を記載してあります) めがね橋経由のバスに乗り、熊ノ平バス停で下車。階段道を上がっていくと、熊ノ平駅跡に出ます。山に挟まれたこの場所で、歯車を噛み合わせて坂道を進むアプト式で碓氷峠越えをしていた時代に、列車は行き違いのため停車していました。左手軽井沢側にトンネルが3つ、これから向かっていく右手横川側には4つのトンネルが見えます。単線時代の駅でのスイッチバックや、その後の新線による複線開通のため、トンネルが何本も掘られました。

9号トンネルから横川方面、その先に8号トンネルを見る

6号トンネルにある横穴

6号トンネルの天井にある排煙穴

遊歩道が続いている10号トンネルに入り、横川駅を目指します。これから歩いて行く10個のトンネルはアプト式単線時代のもので、横川〜軽井沢間が開通したのが1893(明治26)年。明治時代のレトロな風情を感じながら、かつての線路跡を歩いていきます。6号トンネルは長さ546mで、コースの中で一番長いトンネル。途中には横穴や排煙用の穴もある、興味深い造りです。遊歩道のところどころには解説板があるので、碓氷峠越えの歴史を紐解きながら、ウォーキングが楽しめます。

 

旧道に降りて見上げためがね橋

めがね橋の横川側から橋の上を見る

新線の橋梁が木々の間に遠望できる

6号トンネルを出ると、めがね橋(碓氷第3橋梁)に到着。レンガ造りの4連アーチ式の鉄道橋は、その美しさが多くの人を魅了する、人気のポイントです。トンネル出口から旧道に降りる階段道があるので、一度旧道から見上げてみるのがおすすめ。橋の上から広がる展望も素晴らしく、横川に向かって左手を見ると、もう列車が来ることのない新線の橋梁も見えます。

緑の山の中に、静かにたたずむ碓氷湖

白秋の歌碑

3号トンネルを出ると、開けたところを歩きます。やがて右手に碓氷湖の湖面と赤い橋が見え、湖畔へと降りていく道にでます。湖を一周する遊歩道やトイレがあり、休憩ポイントに最適です。碓氷湖から戻り、2号トンネルを出ると、やがて碓氷第2橋梁の上を通ります。白秋の歌碑を過ぎると、まもなく峠の湯。日帰り温泉施設です。ここからは、廃線レールを残して作られた遊歩道を歩きます。

レールを残して造られた遊歩道の隣には、トロッコ列車線に利用されているかつての下り線が寄り添う

旧丸山変電所は、1912(明治45)年の横川〜軽井沢間の電化に伴い造られた

かつての複線の線路が、下り線はトロッコ列車線として、上り線は遊歩道として生まれ変わり横川へと続いています。途中、国の重要文化財に指定されている旧丸山変電所の重厚感あふれる建物が、ひと際目を引きます。ここから25分ほどで、ゴールの横川駅に到着。駅の手前には、かつての横川駅構内だった敷地に造られた、鉄道のテーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」があり、いろいろな車両展示や体験コーナーがあるので、園内を探訪してみてはいかがですか。

(2012年7月27日歩行)

 

 

 

 

 

★横川駅〜熊ノ平、横川駅〜めがね橋のバス運賃は、いずれも大人300円です。

★表記の便以外の軽井沢駅行きのバスは、熊ノ平を通りません。

★路線バスを利用できない場合は、横川駅〜熊ノ平までタクシー利用で2,600円程度です。

【テーマ】歴史・鉄道・展望・温泉

横川駅→(バスまたはタクシー約20分)→1・熊ノ平(簡易WC)→2・めがね橋→3・碓氷湖(WC)→4・峠の湯(WC)→5・旧丸山変電所→6・碓氷峠鉄道文化むら→横川駅

歩行距離:約6.3km

歩行時間:約1時間35分(横川〜熊ノ平まで登る逆コースの場合は、約2時間5分)

 

 

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横浜機関区とSL

1972(昭和47)年撮影  写真提供:中澤敦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄道発祥の地、横浜に鉄道が開通したのは1872(明治5)年。初代横浜駅(現在の桜木町駅)構内には、機関車のための横浜機関庫がありました。その後機関庫は高島に移転して、高島機関庫、高島機関区、横浜機関区と名前を変えましたが、現在の横浜駅から南へ少し行ったところにあり、扇型の独特な建物の中に蒸気機関車を格納し、機関車の向きを回転させる転車台も設置。横浜機関区付近の広大な敷地には、貨物線の線路が数多く敷かれるようになり、高島駅という貨物駅もありました。横浜港の発展により、かつての貨物線の線路は、桜木町駅付近から汽車道を通り、赤レンガパークや山下公園、山下ふ頭まで伸びていきます。
しかし、時代が変わっていく中、次第に鉄道貨物輸送は縮小されていきました。写真は1972(昭和47)年の時のもので、当時横浜では貨物輸送を含め蒸気機関車はすでに活躍の場を失っていましたが、鉄道100周年記念イベント列車の準備のため、横浜機関区に入ってきたものを撮影したものです。貨物線の整備縮小が進み、長年多くの機関車とともにあった横浜機関区も、1986(昭和61)年についに廃止となりました。ここにあった転車台は本牧市民公園に移設保存され、現在の貨物線は、かつての横浜機関区のあった場所付近を地下トンネルで通っています。

 

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昼も夜も休みなく走った、583系特急電車

廃止直前の583系寝台特急「はくつる81号」 2002年10月撮影(上野駅)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東北新幹線の開業前、上野〜青森間には数多くの特急や急行列車が走っていました。昼行の「はつかり」「みちのく」、夜行寝台列車の「ゆうづる」「はくつる」などの特急列車に加え、「十和田」「八甲田」「津軽」などの急行列車が何往復もしていた、華やかな時代でした。当時北海道にいた私は、東京に出る際には、これらの列車をよく利用しました。なかでも583系と呼ばれた電車は、昼間は座席車として運用、夜間は寝台設備をセットすることで、昼も夜も走行することができ、上野〜青森間の特急列車にも多く使われていました。しかし、東北新幹線の開業や飛行機需要の高まりに押されて、583系も次第に活躍の場を失っていきます。夜行列車も本数が減っていくなか、臨時列車としてまだ残っていた583系寝台特急「はくつる81号」に最後に乗車できたのは、廃止直前の2002年10月の時でした。なお、583系の定期列車として、最近まで走り続けていた大阪〜新潟間の急行「きたぐに」も、2012年3月のダイヤ改正の際に定期列車としての運転が終了してしまいました。

 

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泊まって良かった宿日記

新潟県松之山温泉 凌雲閣

木造3階建の宿は、国登録有形文化財

越後湯沢駅で上越新幹線を降り、ほくほく線に乗り換え、まつだい駅からバスや車で約25分。草津、有馬と並んで日本三大薬湯の一つに数えられるのが松之山温泉。静かな山の中のいで湯なのに塩分濃度が高く、しょっぱさを感じる湯です。
昭和13年に建てられた本館の客室は、宮大工が一人一部屋を担当して腕を競い合った作品そのものの風格。それぞれの部屋のしつらえも違っていて、皆趣向を凝らした造りです。磨き込まれた板張りの廊下もまた、長い歴史を感じさせます。
きのこ・山菜採りの名人の料理長みずから山に入って採った山の恵みは、様々な料理となって食卓に並びます。山里ならではの食材と、米どころ新潟が誇るおいしいご飯。季節にあわせて並ぶ味覚を、ゆっくりと召し上がれ。

☎025-596-2100

 

長年の風雪に耐えてきた風格ある木造3階建

長い廊下に沿って、一部屋ずつ造りの違う客室が並ぶ

山菜料理の一例:カタクリのお浸し(手前)

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泊まって良かった宿日記

福島県飯坂温泉  双葉旅館

お風呂も多彩、静かに過ごせる家族的な宿

福島駅から飯坂電車で約25分。古くからの温泉街に建つ木造2階建ての温泉宿。全部で8室しかない小さな宿ですが、もてなしの心と客を楽しませる工夫があふれています。
お風呂は全部で4カ所。内湯の「石灯りの湯」は畳敷きの床が足に心地良く、奥には露天風呂もある豪華さ。もう一つの内湯「花灯りの湯」とは、夜10時頃に男女が交換されるので、両方を楽しめます。檜の露天風呂や檜の寝風呂もあって、こちらは貸切で利用でき、飯坂の湯を色々なお風呂で楽しめるのが魅力です。
料理は、その日に仕入れた食材で内容が決まるので、当日のお楽しみ。「ジュニア野菜ソムリエ」の資格を持つ女将が作るヘルシーなメニューには、自家菜園で育てた新鮮な野菜も登場します。静かな環境の中で、木の温もりを感じながらゆったり過ごせるお宿です。

☎024-542-8111

檜の露天風呂「月灯りの湯」

野菜たっぷりの料理の一例

一人ずつ釜で炊き上げる朝ご飯

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