2012年の4月に、めがね橋〜熊ノ平間が新しく開通した、「遊歩道アプトの道」。碓氷峠に残る鉄道遺産を間近に眺め、美しい山並み風景が楽しめるコースとして、さらに魅力的になりました。秋には木々が色づき、よりいっそう彩り豊かな自然の中を歩けるのが楽しみです。ただ、横川〜熊ノ平間の上り坂が約2時間、熊ノ平〜横川間の下り坂が約1時間35分で、全行程を往復するのはかなりの体力と時間が必要です。そこで、夏〜秋の特定日に運行している旧道めがね橋経由の路線バスを利用して熊ノ平まで行き、横川に向かって坂道を下っていくルートをたどると、比較的に楽に歩くことができます。今回は、熊ノ平〜横川へ下っていくルートで紹介します。
横川駅を出て左手先に、軽井沢行きのバス停があります。熊ノ平を通るバスは日にち限定運行で、しかも1日1〜2本しかないので注意してください。(下に時刻表と運転日を記載してあります) めがね橋経由のバスに乗り、熊ノ平バス停で下車。階段道を上がっていくと、熊ノ平駅跡に出ます。山に挟まれたこの場所で、歯車を噛み合わせて坂道を進むアプト式で碓氷峠越えをしていた時代に、列車は行き違いのため停車していました。左手軽井沢側にトンネルが3つ、これから向かっていく右手横川側には4つのトンネルが見えます。単線時代の駅でのスイッチバックや、その後の新線による複線開通のため、トンネルが何本も掘られました。
遊歩道が続いている10号トンネルに入り、横川駅を目指します。これから歩いて行く10個のトンネルはアプト式単線時代のもので、横川〜軽井沢間が開通したのが1893(明治26)年。明治時代のレトロな風情を感じながら、かつての線路跡を歩いていきます。6号トンネルは長さ546mで、コースの中で一番長いトンネル。途中には横穴や排煙用の穴もある、興味深い造りです。遊歩道のところどころには解説板があるので、碓氷峠越えの歴史を紐解きながら、ウォーキングが楽しめます。
6号トンネルを出ると、めがね橋(碓氷第3橋梁)に到着。レンガ造りの4連アーチ式の鉄道橋は、その美しさが多くの人を魅了する、人気のポイントです。トンネル出口から旧道に降りる階段道があるので、一度旧道から見上げてみるのがおすすめ。橋の上から広がる展望も素晴らしく、横川に向かって左手を見ると、もう列車が来ることのない新線の橋梁も見えます。
3号トンネルを出ると、開けたところを歩きます。やがて右手に碓氷湖の湖面と赤い橋が見え、湖畔へと降りていく道にでます。湖を一周する遊歩道やトイレがあり、休憩ポイントに最適です。碓氷湖から戻り、2号トンネルを出ると、やがて碓氷第2橋梁の上を通ります。白秋の歌碑を過ぎると、まもなく峠の湯。日帰り温泉施設です。ここからは、廃線レールを残して作られた遊歩道を歩きます。
かつての複線の線路が、下り線はトロッコ列車線として、上り線は遊歩道として生まれ変わり横川へと続いています。途中、国の重要文化財に指定されている旧丸山変電所の重厚感あふれる建物が、ひと際目を引きます。ここから25分ほどで、ゴールの横川駅に到着。駅の手前には、かつての横川駅構内だった敷地に造られた、鉄道のテーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」があり、いろいろな車両展示や体験コーナーがあるので、園内を探訪してみてはいかがですか。
★横川駅〜熊ノ平、横川駅〜めがね橋のバス運賃は、いずれも大人300円です。
★表記の便以外の軽井沢駅行きのバスは、熊ノ平を通りません。
★路線バスを利用できない場合は、横川駅〜熊ノ平までタクシー利用で2,600円程度です。
【テーマ】歴史・鉄道・展望・温泉
横川駅→(バスまたはタクシー約20分)→1・熊ノ平(簡易WC)→2・めがね橋→3・碓氷湖(WC)→4・峠の湯(WC)→5・旧丸山変電所→6・碓氷峠鉄道文化むら→横川駅
歩行距離:約6.3km
歩行時間:約1時間35分(横川〜熊ノ平まで登る逆コースの場合は、約2時間5分)
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