東急東横線の妙蓮寺駅から隣の菊名駅までの一駅間の短いコースです。距離は短いですが、こんな町中にも、豊かな自然があり、展望の広がる景色があり、歴史を刻む寺社仏閣がありと、様々な出会いを楽しみながら散策ができます。妙蓮寺駅は、その名の通り妙蓮寺というお寺の前にあります。朱塗りの立派な山門が目を引きます。大正15年の鉄道開通の際に、当時の住職が境内の線路敷設を快諾し、その土地を無償で提供したことにより、妙蓮寺駅が造られました。駅から商店街を歩き、突き当たりを右に曲がると、やがて菊名池公園のプールに出ますが、その左手に菊名池弁財天の鳥居が見えます。横浜港北七福神のひとつですが、ここの弁財天は少し変わっています。一般的には、琵琶を持っているのが弁財天ですが、菊名池弁財天は右手に剣を左手に宝玉を持っているのです。剣で魔を払い、宝玉は招福の玉として財宝を授与するといわれているので、ぜひお参りしてください。お参りの後は、プールに沿って外側をぐるっと歩きます。自転車駐車場の手前の横断歩道を渡って、菊名池に向かいます。池には鳥たちの姿もあり、周囲の木陰では涼んでいるひとたちがいました。菊名池は、もとはプールの方まで含む、もっと大きな池でした。「菊名池及びその周辺のうつりかわり」というパネルがあり、昭和3年の地図と今を見比べてみることができます。
菊名池を後に、旧綱島街道を歩きます。踏切を渡ってしばらく行き、クリーニング店のところで、右にV字形に戻るように坂道を登って行きます。左には森が広がり、やがて小高い公園に出ます。ここが菊名桜山公園で、現況の桜の木に加えて、新たに植栽も行ない、草花や緑豊かな公園として整備が進められています。木々の隙間からは、眼下に広がる家々が展望できます。公園を抜けると綱島街道。左に曲がって、見晴らしが良い道を歩きます。
横浜線のトンネルの上あたりからは、線路の向こうに家並みを見下ろす素晴らしい展望です。綱島街道に沿って少しずつ下っていくと、やがて蓮勝寺。境内は緑深く、静かな佇まいです。ここには、運慶の作と伝えられる毘沙門天が祀られていますが、ご開帳の日はお正月松の内の七日間と1月、5月、9月の初寅の日となっているようです。
菊名駅まではあとわずかですが、菊名神社へ寄ってみます。菊名神社には「がまんさま」と呼ばれる鬼の石像があります。手水鉢をささえる4つ角にあり、江戸時代末期から長い年月の間、じっと手水鉢を支えてきたがまん強い姿から、こう呼ばれていて、忍耐の大切さを伝えているとのことです。厳しい環境にさらされている現代社会。「がまんさま」の教えのように、努力と忍耐こそが開運を招くもとになるのかもしれません。そんな事を考えながら、菊名神社を後に。菊名駅までは、3分位で着きます。
(2009年7月25日歩行)
【テーマ】歴史・花・森
東急東横線妙蓮寺駅→1・妙蓮寺→2・菊名池弁財天→3・菊名池→4・菊名桜山公園→5・綱島街道→6・蓮勝寺→7・菊名神社→東急東横線菊名駅・JR横浜線菊名駅
歩行距離:約3.5km歩行時間:約50分
関連ワード: 神奈川県